美容室や理容室、そしてシャンプーや化粧品。私たちは「髪や身だしなみ」に1年でいくらお金を使っているのでしょうか。
総務省「家計調査」(二人以上の世帯)をもとに、理美容にかけるお金の実態と、この四半世紀の変化を見ていきます。
理美容サービスへの支出は年間約1万4千円
2024年の家計調査によると、二人以上世帯が1年間に理美容サービス(カットやパーマなど店舗で受けるサービス)へ支払った金額は、1世帯あたり14,324円でした。
内訳を見ると、カット代が6,991円ともっとも多く、次いで理髪料が4,903円、パーマネント代が2,430円となっています。
かつて美容室の定番だったパーマへの支出が、カットや理髪を下回っている点が、今の利用スタイルを物語っています。ストレートやゆるやかなスタイルが好まれ、パーマをかける頻度そのものが減ってきました。
25年でサービス支出は4割減、でも用品は増えている
2000年と2024年を比べると、変化がはっきりします。
理美容サービスへの支出は23,712円から14,324円へと、約40%も減りました。ところが同じ期間に、シャンプーや化粧品などの「理美容用品」への支出は44,713円から61,489円へと、逆に約38%増えているのです。
つまり、お店で受けるサービスにかけるお金は減る一方で、自宅でのセルフケアやコスメに使うお金は増えている、という対照的な動きが起きています。サービスと用品を合わせた「理美容への総支出」はむしろ増えており、美容への関心が薄れたわけではないことがわかります。
なぜサービス支出は減ったのか
二人以上世帯でサービス支出が減った背景には、いくつかの理由が考えられます。
ひとつは低価格化です。1,000円前後のカット専門店が広がり、1回あたりの単価が下がりました。同じ回数通っても、支払う総額は以前より小さくなります。
ふたつめはセルフケアの定着です。パーマをかける人が減り、カラーやトリートメントも「自宅でケアする」スタイルが広がりました。市販のヘアケア用品や化粧品の質が上がり、サロンに行かなくても満足できる選択肢が増えたことが、用品支出の増加という形で表れています。
みっつめは来店頻度の変化です。節約志向の高まりもあり、「2か月に一度を3か月に一度へ」と、サロンに行く間隔をのばす人も少なくありません。これは美容室の経営にとっては逆風で、過去最多のペースで進む倒産の一因にもなっています(参考:美容室の倒産が過去最多|店が増え続けるのになぜ潰れる?【2025年】)。
「お金をかける先」が店から自宅へ移った
ここまで見てきた変化は、「美容にかけるお金が減った」という単純な話ではありません。
サービス支出は減っても、用品支出はそれを上回って増えています。人々の美容への関心はむしろ高まっており、変わったのは「お金をかける先」です。プロの手による施術から、自宅で自分の手でおこなうケアへと、支出の重心が移ってきたのです。
とはいえ、カットの技術やカラーの仕上がり、頭皮ケアといった専門的なサービスには、やはりプロにしか出せない価値があります。セルフケアが充実した今だからこそ、「わざわざお店に行く理由」をつくれるサロンが選ばれる時代になりつつあります。理美容師の給与や、理容室と美容室の違いも、こうしたお金の使い方と無縁ではありません。
まとめ
- 2024年、二人以上世帯が理美容サービスに使ったお金は年間14,324円。内訳はカット・理髪・パーマの順で、パーマの比重は小さい。
- この25年でサービス支出は約40%減少した。
- 一方で理美容用品(化粧品・ヘアケアなど)への支出は約38%増加し、対照的な動きを見せている。
- 背景には低価格化、セルフケアの定着、来店頻度の低下がある。
- 「美容にかけるお金」自体が減ったのではなく、使い道が店からセルフケアへ移っている。
それでも、プロの技術はやっぱり別物。気になる美容室・理容室は都道府県別の店舗一覧から探せます。
(出典:総務省「家計調査」二人以上の世帯〔2000年・2024年〕)