華やかなイメージのある美容師・理容師。一方で「給料はそれほど高くない」とも言われます。
実際のところはどうなのでしょうか。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和4年)のデータをもとに、理美容師の給与と働き方の実態を見ていきます。
平均年収は約330万円
賃金構造基本統計調査によると、理容・美容師の平均年収は330万1,400円でした。
月々の給与(きまって支給する現金給与額)が26万7,500円、これに年間の賞与9万1,400円が加わった金額です。全産業の平均年収496万5,700円と比べると、約34%低い水準です。
男女別に見ると、男性が368万3,600円、女性が312万8,700円。
女性のほうがやや低くなっていますが、これは勤続年数や役職構成の違いも影響していると考えられます。
年収差の主な原因は「賞与」
注目したいのは、年収の差がどこから生まれているかです。
月々の給与だけを比べると、理美容師と全産業の差はそれほど大きくありません。決定的に違うのは賞与(ボーナス)です。
全産業の年間賞与が88万4,600円なのに対し、理容・美容師は9万1,400円。実に10分の1程度です。
個人経営や小規模なサロンが多く、業績連動の大きな賞与を出しにくい構造が、年収格差の主な要因になっています。
経験を積むほど年収は上がる
平均年収330万円という数字は、あくまで全体をならした金額です。実際には、キャリアの段階によって収入は大きく変わります。
美容師・理容師の多くは、入社後しばらくはアシスタント(見習い)として技術を磨きます。この時期はシャンプーや雑務が中心で、給与は控えめです。
試験に合格してスタイリストデビューを果たすと、指名やこなす客数に応じて収入が伸びていきます。さらに店長やマネージャー、独立してオーナーになると、年収が大きく上がる人も少なくありません。
賃金構造基本統計調査でも、経験年数が増えるにつれて年収が高くなる傾向がはっきり表れています。平均値の手前にいるアシスタント層が全体を押し下げており、技術が身につき指名を取れるようになってからが、収入面での本番だと言えます。
平均年齢33歳、勤続8年という若さ
働き方の面でも特徴があります。理容・美容師の平均年齢は33.6歳、平均勤続年数は8.1年。全産業と比べて、どちらもかなり若いのが実情です。
これは、若くして現場で活躍できる職業である一方、長く同じ店に勤め続ける人が相対的に少ないことも示しています。
技術職として独立・開業を目指す人が多いこと、立ち仕事で体力的な負担が大きいこと、子育てとの両立が難しい時期に離職が起きやすいことなどが、背景として指摘されています。この早期離職の実態は、「美容師は3年で8割辞める」は本当かでデータをもとに詳しく見ています。
広がる「歩合」「業務委託」という選択肢
近年は、正社員として給与をもらう働き方だけでなく、収入の伸ばし方そのものが多様になっています。
売上の一定割合を受け取る歩合制、サロンと契約して働く業務委託、面貸し(シェアサロン)を使うフリーランスなどです。これらは売上を出せれば正社員以上の収入も狙える一方、固定給や賞与、社会保険といった安定面はトレードオフになりがちです。
最近は、社会保険を完備し週休2日制を導入するサロンも増えており、待遇を改善して人材をつなぎとめようとする動きも広がっています。給与の低さは早期離職の最大の理由でもあり、待遇改善は業界全体の課題になっています。
利用者から見た「適正な料金」
給与の話は、私たち利用者の支払う料金とも地続きです。
理美容サービスにかける家計の支出は、この25年でむしろ減ってきました(参考:理美容にかけるお金の25年の変化)。低価格化が進み、消費者にとってはありがたい一方で、それが理美容師の賃金を抑える一因にもなっています。技術に見合った料金がきちんと支払われる仕組みが、働き手の待遇改善にもつながっていきます。
まとめ
- 理容・美容師の平均年収は約330万円で、全産業平均より約34%低い。
- 差の主因は賞与で、全産業の約10分の1にとどまる。
- 平均年齢33.6歳・勤続8.1年と若く、独立志向や離職の早さがうかがえる。
- アシスタントからスタイリスト、店長・独立へと、キャリアを積むほど収入は上がる。
- 歩合・業務委託・フリーランスなど、収入を伸ばす働き方の選択肢も広がっている。
技術と人柄で選ばれるのが理美容の世界。お近くのお店は都道府県別の店舗一覧から探せます。
(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和4年)