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「美容師は3年で8割辞める」は本当か|データで見る離職のリアル【2025年】

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    美容師の世界では「1年で半分、3年で8割が辞める」という数字がよく語られる。技術の習得が厳しく、独立志向も強い業界として知られるが、本当にそれほど多くの人が辞めているのか。最新の調査データで実態を確かめてみる。

    「3年で8割」は誇張、実際は3〜4割

    リクルートが2024年に発表した「美容サロン就業実態調査」(美容師約1,100人を含む、全国の美容サロン従事者2,899人が対象)によると、最初の職場(初職)を3年未満で辞めた美容師は36.7%だった。内訳は1年未満が10.0%、1年以上3年未満が26.7%である。

    裏を返せば、6割以上は最初の職場で3年以上働き続けている。「3年で8割」という通説は出典がはっきりせず、実態とはかなり離れた数字だと言える。

    ただし、離職率が全産業より高いのは事実

    「8割」は誇張だとしても、美容業が辞めやすい業界であること自体は、別のデータからも裏づけられる。

    厚生労働省「雇用動向調査」(令和5年)によると、美容業を含む「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は20.8%で、これは産業別でもっとも高い。全産業平均の15.4%を大きく上回る。

    立ち仕事で体力的な負担が大きいこと、見習い期間が長く給与が低いこと、土日に休みにくいことなどが、離職率の高さの背景にあると考えられる。

    なぜ辞めるのか、1位は「給与への不満」

    同じリクルートの調査で、初職を辞めた・転職した理由をたずねると、もっとも多かったのは「給与への不満」で、4人に1人以上が挙げた。職場の人間関係や、拘束時間の長さも上位に入っている。

    美容師の平均年収は約330万円と、全産業平均より低い水準にある(詳しくは美容師・理容師の給料はいくら?)。技術を磨く見習い時代の収入の低さが、早期離職の引き金になりやすい。平均勤続年数が8.1年(賃金構造基本統計調査・令和4年)と全産業より短いことにも、それが表れている。

    給与だけでなく、朝の準備から閉店後の練習までを含めた長い拘束時間や、先輩・後輩の関係の濃さも、離職の引き金になりやすい。技術職ゆえに人に教わる時間が長く、合う・合わないがはっきり出やすい職場でもある。

    「辞める」イコール「業界を去る」ではない

    ただし、最初の職場を辞めることが、そのまま美容師をやめることを意味するわけではない。

    リクルートの調査では、初職を辞めた後も美容師を続けている人が55.4%と半数を超える。多くは「美容師そのものをやめる」のではなく、「より良い条件の店に移る」かたちで業界に残っているのだ。技術と国家資格を持つ職業だからこそ、職場を変えながらキャリアを続けやすいとも言える。

    最初の店で基礎を固め、二、三店目で自分に合う働き方やお客様の層を見つけ、やがて独立するという流れも珍しくない。早期離職の数字の裏には、こうした前向きな「移籍」も含まれている。

    待遇改善で人材をつなぎとめる動き

    人手不足が深刻化するなか、サロン側も手をこまねいているわけではない。社会保険を完備し、週休2日制を導入するなど、待遇を改善して人材をつなぎとめようとする動きが広がっている。

    働き方そのものも多様になり、サロンと契約する業務委託や、面貸し(シェアサロン)を使うフリーランスといった選択肢も増えた。固定給の安心を取るか、歩合で収入の上限を外すか、働き手が選べる時代になりつつある。こうした変化は、人手不足や倒産が相次ぐ業界の構造とも深く結びついている(参考:美容室の倒産が過去最多|店が増え続けるのになぜ潰れる?【2025年】)。

    まとめ

    • 「美容師は3年で8割辞める」は出典の不確かな通説。最新調査では初職を3年未満で辞めるのは36.7%で、6割超は3年以上続けている。
    • ただし美容業を含む業種の離職率20.8%は全産業(15.4%)より高く、辞めやすい業界なのは事実。
    • 辞める理由の1位は「給与への不満」。低めの年収と長い見習い期間、拘束時間の長さが背景にある。
    • 初職を辞めても55.4%は美容師を継続。職場を変えながら業界に残る人が多い。
    • 待遇改善やフリーランス化など、働き方は多様になりつつある。

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    (出典:リクルート「美容サロン就業実態調査」2024年、厚生労働省「雇用動向調査」令和5年・「賃金構造基本統計調査」令和4年)